温暖化はまったなしの状況、全世界でCO2(二酸化炭素)の排出制限・循環が議論されていますね。新製品の開発現場でもCO2は無視できない問題となっています。
CO2を減らせばいいのか・・と思いきや。
温暖化を促進するのはCO2だけじゃない、ということご存じでしょうか?
そう、まずは牛のおならやげっぷに含まれるメタンガス!
正直、初めて聞いたときはギャグかとおもいましたよ・・
でもそれだけでもない!ってご存じでしたでしょうか?
実際のところ、エンジニアをしていると、もっとドキッとする物質に出会う事もあります。
私たちの開発・製造の現場ではGWPという値で議論するケースがあります
たとえばフロンガス、考え方としてはCO2を基準に考えます。
そこで今日は、CO2以外の温暖化に関与する物質と、地球温暖化係数GWPという考え方をシンプルに解説したいと思います。
地球温暖化係数GWPとは?~二酸化炭素以外にも原因が~
GWP(Global Warming potential)とはざっくりいうと二酸化炭素を1としたときに、その物質が100年間で地球をどれほど暖めるのかという数値になります。(100年GWP)
厳密にいうと、二酸化炭素を基準に、各種気体が大気中に放出された際の濃度あたりの温室効果の100年間の強さを比較して表したもの。オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正(モントリオール議定書2016年改正)で、「百年地球温暖化係数」として再定義されました。(出典Wikipedia)
・・・?
簡単には計算ができず、世界基準も明確に決まっていないですが、分子構造に加えて、基本はそのまま分解しないということがポイントのよう(たぶん)
↓こちらが代表的な温室効果ガス。
頻度の高いものが上に来ています。
そうそう、二酸化炭素は化石燃料の燃焼が主原因だから、脱化石燃料と言われているのよね
表の下の方をみると、工業界では、二酸化炭素よりもっと強力な物質が使われていることが分かります。
このように、地球温暖化に影響しているのは二酸化炭素だけではない!ということが分かります。
でも、実際にはCO2が圧倒的に多いですよね。影響を及ぼしている割合はどのくらいなんだろう?
実際に影響を及ぼしている物質の計算方法
トータルどの物質が悪影響を及ぼしているのか、この議論をする際はCO2換算で考えます。
たとえばAというGWP=1000の物質が、二酸化炭素の1%しか排出されていなかったとしても、10倍の悪影響が出ることになります。
CO2: 1
A: 1000×1/100=10
さんすうってだいじだな・・
このように、議論する際はCO2に換算して比較するということです。
さて実際に影響を及ぼしている物質を見てみます。
やっぱり圧倒的一番はCO2なんですね
2010年のデータですから、最近は内訳が少々異なる可能性はあります。
第一位はやっぱり二酸化炭素(CO2)
活発に議論されているだけあり、圧倒的に二酸化炭素が占める割合が大きいです。
メディアでも耳にするとおり。
職場でも新規プロジェクトにはかなりの割合で話題になる。
それから、あまり耳にしないものの山火事などによるCO2排出が11%もある点が気になります。
2021年に入って様々なところで大規模な山火事が生じていますが、温暖化の影響でさらにこれが増えてしまうと怖いですね。
第二位は意外と多いメタンガス(CH4)
メタンガスはどこからきているかというとなんと多いのが畜産。
人間が食べるために大量に育てている(特に牛)のおならやゲップから排出されます。
牛のゲップが地球温暖化なんて、ギャグかと思いました。
お肉、おいしいですよね。そして一昔前より安いですよね。
ハンバーガーも手軽に食べられて、ステーキだって頼みすぎて残してしまう人もいます。
でもそういった便利さの背景にこのような悪影響もあるのです。
”工場畜産”もアニマルフェアの観点から問題視されています
日本ではまだ少ない印象ですが、このような背景からヴィーガン(菜食主義)になる人もいます。
(関連記事:海外の有名人には多くのヴィーガン。驚くべきその理由とは)
他にも水田の泥の中の微生物がメタンガスを放出しているとされています。
バランスの難しさを感じさせられます。
第三位は一酸化二窒素(N2O)
昔教科書でならったNOxの事かと思ったらNOxとは異なるんですね。
麻酔薬やエンジンなどの燃焼材として使用されています。
また、肥料の製造などからも排出され、人間の活動によって過去数十年間で30%増えたことが発表されています。(国立環境研究所資料)
循環の問題はカーボンCだけではなくて、窒素NやリンPでも差し迫っています。
人口増加・便利さを追求していくとCO2以外でも影響が大きいことがよく分かります。
二酸化炭素の300倍ですから・・
第四位・第五位は今後鍵になるかもしれないフロン類 第七位はNF3
こちらも昔、オゾン層で話題になったフロン類。
オゾン層破壊の指標(ODP)と地球温暖化の指標(GWP)とは別のもので、ODPに関しては規制や改良おかげで悪いものは比較的放出されなくなり、今はGWPの方が深刻です。
この物質実は意外と今後鍵になるのかもしれないと思っています。なぜなら
半導体の製造プロセスや、スーパーコンピューターを冷却するのに必須だからです。
どれもこれからの産業をさせる技術
各社さん低GWPの製品を開発しているものの、コストが折り合わず、採用されない・・という事態も頻発しています。
第七位の三フッ化窒素NF3(GWPはなんとCO2の17,000倍!?)も半導体製造で使われる物質です。
第六位は電力供給に不可欠な六フッ化硫黄SF6
優れた絶縁性能を持つ気体で、現在ではガス遮断器やガス絶縁開閉装置をはじめとする電気機器に広く用いられており、電力の安定供給に不可欠なものとなっています。
人体に対し安全でかつ安定しているという特徴を持っているため、採用されてきました。
この安定性というのが、温暖化には仇となるのです
私たちに個人でできることを考えていきたい
私もほんの1年前まで、日々の仕事に追われ、環境に悪いことはしたくないけど積極的にいいことをしよう、という立場でもありませんでした。
でも温暖化は喫緊の課題です。モチベーションは、たくさんありますよ!
こどもたちが子育てするころにはどうなっちゃうんだろう!?
外でスポーツできなくなったら嫌だな
じいじのおうちのこうずいがしんぱい
少しずつでも小さなことを積み重ねていくことが大事かなと思います。
まずは、温暖化の問題について少し調べてみること
本日のデータの引用は全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)です。
詳しく知りたい方は参考にされてください。
SDGs(Sustainable development goals)でも温暖化は重要項目の一つとされています。
SDGsについては最近書籍も記事も豊富にあります。
(関連記事:?SDGsの教科書SDGsがとにかく分かりやすい本を1冊ぶなら)
(関連記事:世界の向かう方向は?SDGsの背景を理解できるオススメの本BEST3)
ゆるーく勉強したい方はぜひこのブログの温暖化の記事やその他SDGsに関する記事も参照いただけると幸いです。
活動を支援すること
寄付などでなくても、SNSでいいね!をするだけでも支援になります。
これを気にさまざまな活動について調べてみてはいかがでしょうか。
他にもたくさんあるけど・・
- 基本の省エネ(CO2,SF6)
- プラスチックの利用を減らしてみる(CO2)
- 肉食を減らしてみる(CH4)
- そもそも食べすぎを減らしてみる(CH4,N2O)
- スマートホン・PCなどは長く使う(FCs, CO2)
- 家でコンピューターが省エネとも限らない(FCs, CO2, SF6)
基本は便利さを疑ってみる・・・!ということですね
よければ一緒に考えてみましょう。
事態は深刻でも楽しく・持続可能に・・!
ここまで読んでいただきありがとうございました。