”ノンソルベント”が業界命題。今後化粧品にも?類似用語との違い

non-solvent SDGsな技術
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今日は”ノンソルベント”の話。この言葉、聞きなじみのある方は少ないのではないでしょうか?しかし、一部の化学業界では”ノンソルベント”もホットな話題

例えば塗料系等では命題ともいえる状況!?

背景は、環境問題対応、SDGs

ほっきょくぐま
ほっきょくぐま

そんなところにも・・?

ポイント
  • ノンソルベント=有機溶剤(ソルベント・シンナー・トルエン等)を使っていないということ
  • ノンソルベントの背景=健康化石燃料由来の原料削減と、環境への有害物質放出削減
  • 今後は化粧品などでも求められてくる
  • カーボンニュートラル・バイオマス・オーガニックといった用語は厳密には違うが、同じような背景

ノンソルベント=有機溶剤(シンナーやトルエン)を使っていない

”ノンソルベント”というとマニキュアの除光液でしょうか・・?

マニキュアの除光液でなどで”ノンソルベント“、(”ノンアセトン”の方が多いです。)などと使われることがありますよね。

これは”有機溶剤”を使っていないこと、を指します

シンナートルエンも有機溶剤

有機溶剤って身体に悪いイメージ

有機溶剤といっても種類が膨大にあるのですが、すべてまとめてソルベント・有機溶剤と呼ばれます。

身近なものだとエタノールなど、油を溶かすもの(希釈液)、と考えると分かりやすいです。

せんせい
せんせい

本当に身体に悪いものについては、法律で規制がかかっています

薬事法や化審法など

この有機溶剤(希釈液)を使っていない製品へのニーズが急速に高まっています

そもそも有機溶剤って何が悪いの?

ソルベント(有機溶剤)の何が悪いのかというと、主に以下の3点です。

  1. 身体に悪い
  2. ほぼ石油由来脱炭素のに逆行
  3. 環境中に放出され、エコではない

1.有機溶剤は身体に悪いから

マニキュアのツンとしたにおい。サインペンのにおい。身体に良いものではありません。

明らかに悪いものは法律でしばられていますが、工場で使われるものは特定の管理のもと使われています。SDS(Safety Data Sheet)を見ると、発がん性あるかもよ?マスクつけて、とにかく換気して・・と身体に悪そうなことが書いてあります。

2.ほぼ化石由来であり、脱炭素に逆行するから

ザ・化学製品。ほぼ化石由来だという点も昨今削減したいポイントです。

昨今SDGsの高まりもあり、CO2排出を削減するために、バイオマス原料の使用が叫ばれています。

”ほぼ”というのはバイオマスエタノールなど、一部の有機溶剤はバイオマス原料も使用されているからです。

バイオマス=良い、というわけではないのですが、石油由来だというだけで目の敵にされるような状況。

3.使用中に環境中に放出され、エコではない

身体にも、環境にも良くないにもかかわらず、有機溶剤って乾いてしまえば環境中に放出されておしまい、です。

せんせい
せんせい

その後分解されてCO2になります。

使わなくて済むなら使いたくないよね、という、当然と言えば当然の背景なのです。

溶剤を使わない、ソルベントフリーがホット

上記のような背景があり、一部の業界では”ソルベントフリー”が非常にホットです。

マニキュアをイメージすると分かりやすいです。どんな技術が注目されているかというと・・

光で固める

ジェルネイル!もそうですよね。

ジェルネイルの場合はその後落とすのにアセトンなど強めの溶剤を使わないといけないで、トータルで考えると環境に優しいとは言えないのですが、落とす必要がなければ技術としては有用です。

太陽光エネルギーが使えるとなお省エネ!

有機溶剤の変わりに水を代わりに使う

乾きにくいけど、有機溶剤を水に変更した製品も検討されています。

せんせい
せんせい

油性ペンと水性ペンの違いをイメージすると分かりやすい。水性ペンは乾きにくく、落ちやすい

でも水は水で貴重なので、ほんとにいいの?という声もある。難しい問題です。

バイオマスなソルベントを使う

ソルベントフリーではないけど、やっぱり有機溶剤って便利。”バイオマス”原料が使われている製品も多いです。まだまだ選択肢が少なく、価格も高いですが、今後変わってくるかもしれません。

ビールに含まれるのもエタノール。これは酵母が作ってくれた物質。

バイオマスだからいいよね!と無駄遣いはしたくないところです。

今後化粧品などでも?消費者ニーズも増えることが予測される

大豆インキは昔からよく聞く

化粧品の溶剤の多くはそもそも身体に悪いものは少なめ。

ノンソルベントの概念はほとんど聞いたことがありません

でも、”バイオマス”に関しては、従来からあるエシカル消費の背景にSDGsをトレンドとして活用したい企業の思惑も重なって、消費者としても材料技術者としてもニーズの高まりを感じます。

今後植物由来、バイオマスを歌った商品は増えてくるものと予想されます。

オーガニック化粧品は個人的にも興味のあるところなので着目

もしかすると、溶剤を使っていない”ノンソルベント”の観点も出てくるかもしれません。

背景を理解して、本当に環境に優しいって何だろうと、考えてみたいと思う次第です。

類似用語との違い(カーボンニュートラル・バイオマス・オーガニック)

混同されがちな用語ですが、ノンソルベントとカーボンニュートラル・バイオマス・オーガニックは違う概念です。

  • ノンソルベント:天然かに限らず、”有機溶剤(希釈剤)を使っていない”、ということ
  • カーボンニュートラル:その原料によって大気中のCO2が増えない、という概念
  • バイオマス原料:動植物やその廃棄物から得られる原料、のこと(精製などはあまり気にしない)
  • オーガニック原料:天然由来の原料、ということ(厳密有機JASの規格があります)
せんせい
せんせい

バイオマスを使ってカーボンニュートラルな製品です!とよく売られているけど、精製工程で化石燃料を使っていてもそこは触れられないことが多いです・・

ほっきょくぐま
ほっきょくぐま

背景にはどれも環境問題への関心の高まりがあります。

まだまだ課題は多いですが、環境に優しいって何だろう?と考えられる機会が増えるきっかけが増えた

一消費者として、化粧品選びでも活用していきたいと思います。

詳細記事はこちら>>ただのオーガニック香水ではない…アロマの力で自己肯定感アップ!

まとめ

  • 化学業界の一部では”ソルベントフリー(無溶剤)”の流れが強くなっている
  • 無溶剤の背景は健康に加えて、化石燃料由来の原料削減と、環境への有害物質放出削減
  • 今後除光液以外の化粧品などでもキーワードとなる可能性がある!?
  • カーボンニュートラル・バイオマス・オーガニックといった用語は厳密には違うが、同じような背景

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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