レジ袋の有料化が2020年に導入以降、エコフレンドリー、環境に優しい材料をよく見かけるようになりました。
最近開発テーマとして多くのメーカーさんも声を上げています。

食品包装容器でもよく見かける!
なんとなく、自然に優しそう?と一消費者として魅力的に感じるのも事実、一方で実際どうなのよ?と感じるのも事実。

パッケージに植物由来ってほどよく書いてあったら、手に取りたくなる
一方、しつこく書いてあったらうさん臭く感じる・・
それもそのはず、それは企業側が

ビジネスチャーンス!!
と捉えているから。
私自身は素材の技術開発者。何が難しいのかというと効率がめちゃくちゃ悪い。

例えるならば、みかんからビタミンだけ抽出する、みかんをそのまんま食べた方がいいじゃん!みたいな
そして、環境配慮プラスチックがざっくりしていて混同されることが多い。よく見るウミガメとポリ袋の写真とカーボンニュートラル、背景は全く別なのに同じように語られることも多いです。
- 生分解性プラスチック=マイクロプラスチックの問題が背景
- 植物由来(バイオマス)プラスチック=カーボンニュートラルの問題が背景
- 化学業界での開発は植物由来(バイオマス)が盛んも、原料や精製の観点で難しい
環境配慮プラは広定義。ウミガメと植物由来は直接関係なし

しかし、そもそも環境に優しいプラスチックとは何でしょうか?
イメージが先行して、植物由来とウミガメの写真が混同して使用されたりしています。
植物由来(バイオマス)とウミガメはどちらもプラスチック問題を連想させますが、課題の背景は異なるものです。

私もイメージでとらえていたときは混同していたので、一般的に分かりにくいポイントなのではないかと思います。

マークがたくさんある点も分かりにくい・・
生分解性はマイクロプラ、バイオマス(植物由来)は脱炭素が背景
- 生分解性プラスチック=マイクロプラスチックの問題が背景
- 植物由来(バイオマス)プラスチック=カーボンニュートラルの問題が背景
と言えます。よく出てくるキーワードを分類すると・・
生分解性プラに関連のキーワード⇒マイクロプラスチック・海洋プラスチック・ゴミ拾い
生分解性プラスチックは昔から医療用途や農業用途での検証が進んでいましたが、最近はマイクロプラスチックの問題が叫ばれるようになり、環境配慮の観点から見直しがされています。

お産の後、縫ってもらった自然に溶ける糸。これは生分解性プラスチック!

土に分解されるプラスチックと一緒に種をまくなど、作業効率等の観点で、農業用途では昔から使用されています。

環境に放置されたプラスチックは、光や熱で徐々に劣化しますが、木材などのように完全に自然に帰ることはできません。
小さなサイズのプラスチックとなって、魚の体などに蓄積されていると問題になっています。
小さなサイズのプラスチックとして残らない、微生物などの力によって分解されるプラスチックが生分解性プラスチックです。
我が家も家族で河原によく遊びにいくのですが、ペットボトルなど放置されています。
これらのプラスチックが川を流れていくと、いずれマイクロプラスチックになってしまう…
Twitterでもゴミ拾い等の活動をされている方々がたくさんいて、頭があがりません。

※実際は、海洋プラスチックの多くは、漁網等によるものが大部分を占めます。
バイオマスプラ関連のキーワード⇒植物由来・カーボンニュートラル・CO2・脱化石原料・温暖化
生分解性プラスチックとは異なる背景のバイオマスプラスチック、こちらは温暖化問題につながります。
ご存じの通り、プラスチックの多くは化石原料から作られています。
これが燃やされるとCO2が排出され、地球温暖化の原因となり、地球温暖化の問題解決は急務となっています。
バイオマスの材料を使う事で、確かに燃やした時CO2はでるけれども、その原料はそれまでにCO2を吸収して酸素を作っているよね、というのがカーボンニュートラルの考え方。

化石をたくさん掘って、使ってもやす(CO2プラス)→CO2が増えるだけ
バイオ原料を育て(CO2マイナス)、使って燃やす(CO2プラス)→トータル0
これまでは石油ナフサからどれだけ安く大量に品質のいいプラスチックを作るか?が課題でしたが、昨今は脱化石原料!が一大テーマとなっています。
開発動向:バイオマスかつ生分解性は限られ、バイオマスの開発が盛ん

これまで日本の産業を支えてきた化学メーカー。
メーカー各社は生き残りをかけて環境配慮型のプラスチック開発に取り組んでいます。

どの会社のレポートをみても、環境配慮に注力していくと書いている・・

そのようにしないと投資が集まらなくなっている背景があります。
(特に海外の投資家からの資金)
これまでは、同じ性能で同じ価格なら環境配慮型製品を使う、でしたが、最近は、ちょっとぐらい性能が悪くてちょっとぐらい高くても環境配慮型製品を使う、という流れになりつつあります。
開発動向はこんな感じ。生分解性を持ち、かつバイオマスという材料は限りなく存在しません。

植物由来原料(特にバイオマス由来プラスチック)の開発が非常に盛んです。
植物由来原料にはバイオマスプラとセルロースナノファイバーがある
植物由来で素材として使われる代表的なものに”バイオマスプラ”と”セルロースナノファイバーCNF”があります。(というかこの2つくらいしかないんじゃないかと)
バイオマスプラスチック(バイオマス燃料なども含む)
私たちの生活になくてはならないプラスチックをはじめとした石油化学製品。
植物由来のエタノールや有機系廃棄物、藻などから精製をして作られます。植物由来のエタノールなどを作るのに活躍するのは菌や藻などの微生物!で、もとの原料の多くはトウモロコシ等を由来とするグルコースが多いです。微生物が栄養を食べてエタノールをはじめとする物質を作ってくれるのです。

ビールは麦を原料にビール酵母という微生物を使った植物由来エタノール!
セルロースナノファイバー
セルロースナノファイバー(CNF)は植物繊維を細か~くしていくと得られる軽くて強い材料。木材から紙が作られますが、よく見ると繊維状になっていますよね。これをさらに細かくして応用したようなもの。
農業で出る産業廃棄物や木材などの廃材の有効活用が期待されています。
CO2の原料となるC(炭素)を大気中に放出することなく、とどめておく!という炭素固定・・の考え方でも着目されています。

植物が腐ったら最終的にCO2になってしまうけど、素材として活用すれば大気中には出ない!
バイオマスプラスチックの開発が盛ん
バイオマスプラスチックは、バイオマスマークをつけるとレジ袋規制の対象外となるなど、従来の技術と組み合わせることでより強固なビジネスへとつながるため、積極的に開発が進められています。

どの会社も推進、価格との勝負になっています
まだコストとの兼ね合いで現行品においつけないため、現行品に一部混ぜて使うようなケースが多いという実情があります。難しいのはとにかく効率が悪い!ということ
例えば、バイオマスエタノールは遺伝子組み換え技術などを活用して菌の開発などされていますが、やっぱり効率が良い原料はグルコース。これはとうもろこしやサトウキビを構成するもので、菌が好きなものは人間も生物も好き。
また有効成分だけ取り出すためには、一度熱をかけて気体にして集めて、濃縮して・・といったプロセスを経ます。(「精製」と呼びます)
場合によっては別の化合物を経ることも多々あります。
100あったグルコースから、化合物Aになるうちにロスがあって80%、化合物Bになるうちに60%・・・とどんどん減っていく。

この”精製”工程で石油由来製品を大量に使っていたりする

そもそも使う量減らすのが一番だとも思う・・!
生分解性プラスチックは化粧品業界などがリード
従来の用途で使用していた生分解性プラスチック(代表的なものとしてはポリ乳酸など)は、耐久性や対候性の観点でなかなか汎用のプラスチックとの置き換えは進んでいません。
一時期よりも生分解性プラスチックの改良も開発テーマとしてよく見かけるようになりました。
一方で化粧品業界などは、化粧品に含まれるプラスチック排除の動きがさかんです。

中国でマイクロビーズが全面規制されるなど、海外での規制が先行しています。

海の中のプラスチックの多くが、人工芝らしい。そういうものは生分解性のものだったら・・
まとめ:バイオマスと生分解性は別背景、そしてどちらも難しい

ここまで読んでいただきありがとうございました!
- 生分解性プラスチック=マイクロプラスチックの問題が背景、海洋のマイクロプラスチックは問題となっており、ウミガメのイメージが使われる理由。
- 植物由来(バイオマス)プラスチック=カーボンニュートラルの問題が背景。化学業界でも開発が盛んにおこなわれるが、原料や精製に課題あり
- 生分解性かつバイオマスという材料はほとんどないが、良く混同されている。
- 根本解決には大量消費をストップする必要がある!
このブログでは個人で出来ることを模索しています。まずは心の余裕、そして小さなことから。
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